近年、車の自動運転やドローン、スマホやIOT機器、AIの普及などに使われる半導体が不足すると言われています。
富士キメラ総研によると、半導体市場は2020年には26兆678億円(前年比14.4%増)が見込まれており、2025年までには、43兆470億円の市場規模になると予想されています。
日本でもムーンショット目標で、ロボットやVR(バーチャル・リアリティ)などの使用が掲げられているので、ますます半導体は使われそうです。
このことから、
そんなに半導体が不足して需要が増すなら、半導体分野の企業に投資をしたらウハウハになるんじゃないか?
と思いますよね?
しかし、半導体分野に投資をしようにも、半導体の種類やそれを扱う企業がたくさんあり、どこに投資をすればいいのか迷います。
企業も簡単に思い浮かべるだけで、
- TSM(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング)
- サムスン
- 東芝
- マイクロン
- インテル
- クアルコム
- NVIDIA(エヌビディア)
- AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)
など、いくつも出てきますからね。
これらの個別銘柄にそれぞれ投資をするにも資金力がいりますし、選別するのもなかなか大変な作業になります。
そんな面倒な手間を省くために、半導体銘柄が欲しいと思ったら、SMHというETFで半導体銘柄をパッケージで購入するという手段も良いと思います。
(半導体ETFには、iShares PHLX Semiconductor ETF 【SOXX】もありますが、2021年2月の段階でSBI証券、マネックス証券、楽天証券では買えません。)
では実際のところ、需要が見込まれる半導体ETFは、他のETFと比べると運用成績はどうなのか?気になりますよね?
まずはメジャー所のVOO(S&Pに連動するETF)と比較してみます。
出典:バックテストポートフォリオより青SMH 赤VOO
SMHはVOOより現時点の運用成績は良いですね。
2016年後半ぐらいから徐々に引き離しています。その前はVOOが良いときもありました。
続いて投資ブロガーの中で最強と言われているETF、VGT(米国情報技術ETF)とQQQ(ナスダック100指数に連動するETF)ではどうでしょうか?
VGTとQQQの圧勝ですね。
しかし、面白いことに2016年~2021年で調べてみると、VGT,QQQよりもSMHの方が運用成績はズバ抜け良いです。
出典:バックテストポートフォリオより青SMH 赤VGT オレンジQQQ
条件は全く変えていません。変えたのは年号だけです。
何故こんなことが起こったかというと、SMHの株価指数が2016年以降から急激に上がっているからだと思います。
何とも不思議な結果となりました。
仮に今後ともSMHがガンガン上がっていくのであれば、長期的に運用益がVGTとQQQを超える日も来るかもしれません。
SMHに投資をするべきかは個々の判断になりますが、
- 今後、SMHの半導体ETFのパフォーマンスが他のETFを超える
- 半導体個別銘柄を選定するのが面倒、でも半導体分野はポートフォリオに入れたい
というのであれば、投資候補として上げられるETFですね。
半導体ETF、SMHとは?
半導体銘柄を集めたETF、SMHはヴァンエック・ベクトル半導体【VanEck Vectors Semiconductor】とも言います。
SMHのスペルがSしかないのに、何故呼び方がヴァンエック・ベクトル半導体と言うのかは謎です(笑)
特徴としては、アメリカのETF、MVIS米国上場半導体25社の全体的な運用成績に連動することを目指し、半導体分野(セクター)を中心に、時価総額と流動性の高い企業に投資をするETFです。
各銘柄の保有率は約20%以下に設定してあります。
このETF1つで、アメリカにあるだいたいの半導体銘柄に投資が出来るイメージです。
SMHの上位組込銘柄
SMHの上位組込銘柄は、台湾のTSMが約15%付近とダントツに多いです。
何でTSMだけ割合が多いのかは、ハッキリとはわかりませんが、半導体業界でかなり優秀な企業だからだと思います。
下記は組込一例です。
1、TSM【台湾積体電路製造】 約14.49%
TSMは台湾セミコンダクター・マニュファクチャリングといい、台湾の半導体メーカー。
集積回路と半導体デバイスの製造や検査、コンピュータ支援設計、組み立て、フォトマスクなどを製造する。
2、エヌビディア 約6.71%
NVIDIA はアメリカの半導体メーカー。GPGPU設計に特化している。
3、ASMLホールディング 約5.49%
ASMLホールディングはオランダに本部がある半導体製造装置の企業で半導体露光装置を販売する。世界の半導体メーカーの約80%以上がASMLの顧客。
4、インテル 約5.22%
インテルは日本人にも馴染みのある企業ですね。アメリカに本社を置く半導体素子メーカーです。
5、アプライド・マテリアルズ 約5.02%
アプライド・マテリアルズはアメリカで世界最大の半導体製造装置メーカー。100ヵ所以上に拠点を持つ多国籍企業。
6、アドバンスド・マイクロ・デバイシズ【AMD】 約 4.96%
アドバンスド・マイクロ・デバイシズはアメリカの半導体メーカー。コンピュータやグラフィックス、家電市場向けのマイクロプロセッサの製造や販売を行う。
7、ブロードコム 約4.9%
ブロードコムは無線や通信インフラの半導体製品などを製造し、販売する。
8、テキサス・インスツルメンツ 約4.64%
テキサス・インスツルメンツはアメリカに本社があり、世界的な半導体を開発をし、製造する。
9、NYPセミコンダクターズ 約4.59%
NXPセミコンダクターズはオランダの半導体メーカー。子会社から高性能ミックスドシグナルICとスタンダード製品のソリューションを製造・販売する。
10、マイクロン・テクノロジー 約4.59%
マイクロン・テクノロジーはアメリカに本社を置く、半導体製造の多国籍企業。 ナスダック100指数の銘柄の1つ。
11、ラムリサーチ 約4.52%
ラムリサーチは半導体の製造装置の製造をする半導体製造装置メーカー。半導体エッチング装置の分野ではトップ。世界16ヶ国に活動拠点を置いている多国籍企業。
直近配当利回りは0.59%で、経費率は0.35%になります。配当金が少しあるので維持費はかからない感じですね。
時価総額は約4,441ドル(百万単位)になります。
ここに載っている個別株のチャートをみましたが、半導体不足のためか全体的に上がってはきています。【2021年2月調べ】
但し、いつまでこの半導体分野の上昇が続くのかはわかりません。
半導体分野でSMHより大きく儲けたいなら個別株の方が確率は高くなる
半導体分野で半導体ETFより儲けたいなら、半導体を扱う個別株に集中して投資をした方が儲かる確率が上がることもあります。
個別株はETFより分散をしないので、リスクがありますが、その分、当たればリターンは大きいです。
例えば、半導体分野で有名なNVIDIA(エヌティビア)とTSM(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング)に投資をしていたらどうなるか?
それぞれ比較してみます。
出典:バックテストポートフォリオより青SMH 赤NVDA オレンジTSM
NVIDIA(エヌティビア)とTSM(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング)の方が良いですね。特にNVIDIA(エヌティビア)は圧勝です。
この2つは優れた企業というのもありますが、半導体銘柄でもトップを走るような企業の株を保有した方が運用成績が良いこともあります。
この辺は投資をする人の好みなので何とも言えませんが、半導体分野に対して、
- 個別銘柄一点張りで大きく儲けたいなら、NVIDIAやTSMのような株に投資をする
という方が、ETFより運用成績を上げることも可能になります。(これからも両銘柄が上がり続ける保証はありませんが…。)
まとめ:SMHは半導体分野で個別株よりリスクを取りたくない。また、分散して半導体銘柄に投資をしたいなら保有してみるのも良い
SMHに限って言えることではありませんが、ETFは良くも悪くも分散して投資をします。
特徴として個別株よりは大きく儲けられませんが、分散も出来てその分野の平均点は取れると思います。
個別株特有の
- 他の競争他社に負けて株価が下がる
- 選んだ銘柄の株価が上がらない
- 業績が悪くなったときのリバランスをしなくていい
などのリスクや手間をある程度、避けることが出来ます。
SMHのようなETFはその業界の株をパッケージでまとめ買いすることで、運用や管理もラクになりますし、
個別株を調べたり、決算書を読んだりする時間も削減できます。(管理手数料という信託報酬がかかるのはETFの特徴なので、仕方ありません…。)
半導体銘柄に投資をしようと思っても、個別株のようにリスクを取りたくないし、管理が面倒という場合は、
SMHのようなETFに投資をするという選択肢も個人的には有りだとは思います。
下記は関連記事です。アメリカ高配当ETF、SPYDとHDVについて書いています。