高配当株と言われるセブン銀行の株へ投資をしたところ、見事に『高配当株の罠』にハマました。
配当利回りとしては約4%超えで最高なんですけどね…。
現在は株価の下落により、私的には配当金を貰い続けても、約10年以上保有しないと投資元本を回収出来ない状態となっています。(株価が下落すれば、もっと時間が掛かる予定です…。)
偉そうに『経験しているから解る高配当株の危険性と回避方法』という記事を書いているのに恥ずかしい限りで御座います。
いくら頑張っても、結局私は誰かの養分のようです。
実戦はなかなか難しく、厳しいモノと痛感しています。
セブン銀行は、私のポートフォリオにある中でもJT(日本たばこ産業)に続き『高配当株の罠銘柄』としてのポジションを現在確立しており、問題児銘柄として安定の地位を築きつつあります。
セブン銀行が問題児銘柄になってしまった原因として挙げられるのは、
- 決算がダメ(見込み業績含む)
- 主力のATM事業に頭打ち感がある
点だ思います。
特に決算が悪く目先の業績予想も悪ければ、機関投資家や個人投資家などに空売りを仕掛けられて株価が下がりやすいですね。(買い戻しで一時的に上がることもありますが…。)
高配当株でも貰える配当金以上に株価が下がれば、高配当株投資としては失敗したも当然です。
セブン銀行の決算(業績)について
セブン銀行の決算(業績)については下記の通りとなっており、パッとしません。
月日 | 売上高 | 経常利益 | 当期利益 |
2020/03 | 148,553 | 39,836 | 26,162 |
2021/03 | 137,267 | 35,640 | 25,905 |
2022/03予 | 137,600 | 28,300 | 19,700 |
※単位:百万円
2022年3月まで業績は順調に右肩下がり予想です。
決算が悪いのは、
- 主力のATM事業の手数料の値下げ
- 新しいATMを含む将来へ向けた投資によるコスト増加
が主な原因となっています。
特にATMの手数料の値下げはセブン銀行にとって大ダメージです。
2021年3月期でも書いてありますが、経常収益は連結で1,372億円の内、ATM手数料が1,235億円ですからね。ATM手数料だけで全体の売上の約9割を占めていることになります。
なので、手数料の値下げをしてしまうと必然的に利益が減り、経営的に大きな影響を与えるのは明白です。
セブン銀行の事業や今後を分析
セブン銀行はATM事業が主力です。
従来の金融機関は、
- 銀行利用による手数料
- 資金の貸付
- 株式や債券などの取引
などを主にやっていますが、
セブン銀行はATM事業に依存しており、ここがコケたら現状コケます。
ただ、セブン銀行側も黙っている訳ではありません。
目先の業績予想はパッとしませんが、将来的には事業の拡大を模索しています。
ATM事業では機能強化を色々と検討し、改善を行っている最中です。
簡単にまとめると、
- 健康観察、選挙投票も将来的にやる予定
- マイナンバーと提携した「マイナポイント」を実施
- スマートフォンとの連携サービス
- オンライン本人認証やATMカメラの顔認証による手続き(実験中)
- 海外送金サービス
- SuicaやPASMO、PayPay、LINE Payなどへのチャージ対応
となっています。
リテール戦略としては投資や保険、与信、提携サービスの提供、外国人サービスの強化。
法人戦略は中小企業の決済や業容を拡大、ATMを生かした受託ビジネスの強化。
海外戦略ではATMを入り口としたサービスの展開です。
これらが軌道にのればセブン銀行の事業は良くなっていくと思います。(軌道にのればですが…。)
セブン銀行のビジネスモデルは国内では頭打ち感がある
セブン銀行はATMを使ってもらわないと、現状収益が増えません。
ATMの設置や使用が生命線です。
しかし、日本国内ではどうしても頭打ち感があります。理由は日本の人口減少です。
厚生労働省によると、2020年で出生数と死亡数の差である自然増減数は-53万1816人ですからね。
出生数より死亡数の方が多くなっています。しかも、出生数が年々下がり、死亡数が年々増えるという負のスパイラル状態です。
因みに53万人という数字だと、どれくらい減ったのかイメージが付きませんが、鳥取県の推計人口が約55万人『2021年調べ』なので、鳥取県の人口が1年間でほぼ消えたイメージです。
日本の人口減少の影響はATMを設置しても、利用者が減っていくだけなので、
日本国内にずっと依存していれば、今のところは人口減少によって、セブン銀行のATM事業に悪い影響を与えることは確実だと思います。
海外次第で光が見えそう?
主力のATM事業は国内では頭打ち感がありますが、海外に目を向けるとまだ設置の余地はあります。
実際に、
- アメリカ
- インドネシア
- フィリピン
などに設置しており、これらの国は今後人口が増えるとされている地域です。
また、セブン銀行の大株主セブン・イレブンはアメリカのコンビニ「スピードウェイ」を買収し、事業を拡大しています。
基本的にセブン・イレブンが出店すれば、セブン銀行のATMを置いてもらえる確率は上がるので、
セブン・イレブンが海外に出店すればする程、セブン銀行は海外進出しやすくなります。
まさに『親のすねかじり作戦』です。
セブン・イレブンはタイや韓国、台湾、中国、マレーシア、ラオス(予定)など世界17ヶ国の海外進出を加速させており、
仮にセブン銀行のATMを置いて貰らい、そこからうまく海外の金融機関などとATM事業を提携出来れば、セブン銀行にも一筋の光が見えてきそうです。
仮想通貨(暗号通貨)の影響も忘れてはいけない?
セブン銀行に限らずですが、仮想通貨(暗号資産)が世に出回り人々がそれらを主として使えば、かなり事業としては苦しくなります。
単純にスマホがあれば問題ないので、ATMなんてモノは利用しなくなりますからね。
セブン銀行側もそれらのリスクはわかっており、QRコード決済などへのチャージ取引を創造し、存在価値を高めようとはしていますが、
こればっかりは実際にその時になってみないとわからない部分でもありますね。
セブン銀行の株価と株式比率
セブン銀行の株価は現在1株240円辺りをウロウロしています。
チャート的には、2015年4月付近で1株約646円が上限だったようで、今はそれを越える気配が全く感じられません。
株主視点だと、チャート的に終了感が半端ないです(笑)
セブン銀行の株主比率は、
- 株式会社セブン‐イレブン・ジャパン 約38.5%
- 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 約4.31%
- 株式会社イトーヨーカ堂 約3.98%
- 株式会社ヨークベニマル 約3.81%
- 株式会社日本カストディ銀行(信託口) 約3.59%
- STATE STREET CLIENT OMNIBUS ACCOUNT OM 約1.27%
- 株式会社三井住友銀行 約1.27%
- 第一生命保険株式会社 約1.27%
- 株式会社日本カストディ銀行(信託口5) 約1.16%
- STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505103 約0.94%
となっており、セブン・イレブン・ジャパンが圧倒的大株主様です。
因みに個人・その他は約12.18%で、私もこの約12.18%の中にひっそりと紛れ込んでおります。
まとめ:セブン銀行は高配当株ですが『高配当株の罠銘柄』になり失敗することもあります
セブン銀行はATM事態の利用がなくなれば、そのダメージは計りしれません。
勿論、単純にセブン銀行のATMを置くところを増やせれば問題ありませんし、キャッシュレス化が進んでもATMを利用する人がいなくならない限りは生存はすると思います。
しかし、ATMそのものを人々が利用しなくなれば、セブン銀行が衰退するのは今のところ明らかです。
セブン銀行側も打開策を色々と打ち出してくるとは思いますが、それが空振りに終わってしまえば高配当株でもなくなり、色んな意味でセブン銀行はスリーアウトで退場することにも成りかねません。
今現状では高配当株ですが、セブン銀行の今後や決算などを見て、投資をするかどうか?
保有しているのであれば、損切りするのかしないのか?をうまく判断しないと、
私のようにポートフォリオ内の塩漬け銘柄になり、失敗することもあるので気を付けて下さいね。