私自身、ミニ株(単元未満株)を始めた頃から保有しているJT株。
高配当が魅力で、配当目的で投資をする人もいるかと思います。
しかし、最近のJT株は配当は出るけど元本が下落するという、高配当株の罠銘柄として有名になってしまいました。
株価は単元で2016年1月29日に46万6100円でしたが、5年後の2021年1月29日には21万1200円と約25万円も下落したことになります。
配当を貰い続けても、損失丸出しです。
一部の投資家からは
JT株はオワコンっす!
という声も上がっていますね。
せっかく配当を多く貰っても、含み損が多ければ、投資の意味がありませんね。今後、JTの株をポートフォリオに入れたままが良いのか迷うところです。
業績も株価も年々冴えませんし、配当性向も現在は89.6(予想)%とかなり高い水準になっています。
つまり、減配の可能性が出てきているということです。
これらの不安要素を打破するには、JT(日本たばこ産業)が業績上げて、営業利益を回復しなければいけません。
JT(日本たばこ産業)の売上収益の割合は、たばこ産業が圧倒的に多く、たばこが主力商品になります。
- 海外たばこ収益 60.4%
- 国内たばこ収益 27.9%
- 加工食品事業収益 7.2%
- 医療事業収益 4%
(※2021年1月調べ)
これらの割合を見てもわかるように、業績改善の鍵は『たばこ』ですね。
日本では喫煙率が下がっているので、JT(日本たばこ産業)はオワコンだと思ってしまいますが、
実は世界に視野を向けると、途上国地域では特に喫煙率が上がっています。
【※データは少し古いですが、世界的に喫煙率は少しずつ上がっています(2021年1月調べ)】
これらのデータを見る限り、今後人口が増え、喫煙率が増えるとされている地域の市場をJT(日本たばこ産業)が獲得出来れば、見通しとしてはまだオワコンではないと思います。
JT(日本たばこ産業)はどんな会社か
JT(日本たばこ産業)は連結子会社231社、持分法適用会社13社から構成されており、国内外でたばこ事業、医薬事業、加工食品事業を展開しています。
JT(日本たばこ産業)に投資をする前までは、たばこ産業しかないと思っていました…。
たばこ事業は160以上のブランドを130ヶ国以上に展開しています。
- イギリスのギャラハー
- アメリカの電子たばこ会社LOGIC
- ナチュラル・アメリカン・スピリット
などを買収し、
インドネシア、フィリピン、ロシア、バングラデシュのたばこ会社も買収しています。
医療事業では、
- 糖・脂質代謝
- 免疫・炎症
- ウイルス
の研究開発を行っており、抗HIV薬や減感作療法(アレルゲン免疫療法)薬「シダトレンスギ花粉舌下液」などを作りました。
加工食品事業は、
- 冷食・常温事業
- 調味料事業
- ベーカリー事業
の3つの事業を展開しています。
たばこ以外にも買収などを繰り返し、色々やっている感じですね。
JT(日本たばこ産業)の業績と株主比率
JT(日本たばこ産業)の業績は、売上、営業利益ともに減少したり上がったりしていますが、最近ではやや減少傾向になっています。
今後の見通しは業績だけを見ると、そこまで騒ぐほどオワコンという訳ではなさそうです。
営業利益率はたばこが高いですが、他の事業が低く、平均すると現在は約24%付近で利益率は高いです。
配当金に至っては、少しずつ上がってきていますが、配当性向が89.6(予想)%付近まで来ているので、増配はキツくなってきている印象です。
株主の比率は
- 財務大臣(国)33.3%
- 自社(自己株)11.2%
- 日本マスター信託口 4%
- 日本トラスティ信託口 2.7%
- SMBC日興証券 2.2%
となっています。
国、自社、年金機構などが大株主です。
ただ、たばこは健康を害する一面があるためJT(日本たばこ産業)株がESG投資から外される可能性もあります。
ESG投資から外れてしまえば、国や年金機構などから投資対象にならず、今後大口の買いが入らなくなり、株価が下落するかもしれません。
大口が入らないと株価に影響があるので、1つの懸念材料にはなります。
ESG投資は、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指します。特に、年金基金など大きな資産を超長期で運用する機関投資家を中心に、企業経営のサステナビリティを評価するという概念が普及し、気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや、企業の新たな収益創出の機会(オポチュニティ)を評価するベンチマークとして、国連持続可能な開発目標(SDGs)と合わせて注目されています。引用:経済産業省HPより
JT(日本たばこ産業)株の株主優待
JT(日本たばこ産業)では、株主優待が用意されています。
株主優待の内容は下記の通りです。
株式保有数 | 優待商品 |
100株~ 200株未満 | 2,500円相当 |
200株~1,000株未満 | 4,500円相当 |
1,000株~ 2,000株未満 | 7,000円相当 |
2,000株~ | 13,500円相当 |
(※2021年1月調べ)
株主優待以外にも、寄付も選べます。なんだか素敵ですね。
優待を貰うために気をつけなければいけないのは、株主優待の獲得は100株以上持てば、すぐに貰える訳ではありません。
12月31日の基準日から100株以上(1単元)を1年間、継続保有が条件です。
例として挙げると、同一株主番号で、
- 2020年12月31日
- 2021年3月31日
- 2021年6月30日
- 2021年9月30日
- 2021年12月31日
全ての日に、株主名簿に記録されていないといけません。
途中で売買して、JT(日本たばこ産業)がチェックする日に、また保有すればいいと思ったりもしますが、株主番号が変わるので、それをやると条件から外れてしまいます。
とりあえず、100株以上(1単元)を12月31日から1年間ガチホしておけば、優待が貰えるということですね。
因みに、ミニ株(単元未満株)は配当のみとなります。
JT(日本たばこ産業)が業績も株価も回復する見通しは?たばこのシェアを取っていくこと
JT(日本たばこ産業)が業績も株価も上げるためには、
- ライバル企業より、たばこの市場を増やせること(国内外)
- 他の事業がイケイケになって利益を上げられること
だと思います。
現状としては、他の医療事業や加工食品事業はたばこ事業に比べると、まだ事業規模は小さく利益率も低いので、主力は『たばこ』に頼らざる得ない状況です。
たばこは先進国での拡大は難しいので、JT(日本たばこ産業)もインドネシア、エチオピア、フィリピン、バングラデシュ、台湾など喫煙者や人口が増えるとされている地域に力を入れています。
たばこ事業の買収を繰り返し、これらの戦略が上手く起動に乗れば、JT(日本たばこ産業)の見通しも良くなり、オワコン銘柄ではなくなりそうです。
世界のたばこ市場ランキング
世界のたばこ市場は、
1位 フィリップ・モリス【アメリカ】
2位 ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【イギリス】
3位 JT(日本たばこ産業)【日本】
4位 インペリアル・ブランズ【イギリス】
となっています。
ただ、JT(日本たばこ産業)のIRデータには中国の中国煙草総公司(CNTC)を除いているので、これがランキングに入れば、各順位が1つずつ下がり、
1位 中国煙草総公司(CNTC)【中国】
2位 フィリップ・モリス【アメリカ】
3位 ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【イギリス】
4位 JT(日本たばこ産業)【日本】
5位 インペリアル・ブランズ【イギリス】
という結果です。
中国のたばこ消費量が圧倒的に多いので、それらの顧客を抱える中国煙草総公司(CNTC)【中国】を入れたら、中国煙草総公司(CNTC)が断トツの1位になり、順位は入れ替わります。
周りでたばこを吸う人たちの状況から見ても日本市場はやはり厳しい
私の周りでも、たばこを吸う人は何人かいますが、
少なくなっているな…。
とは感じます。
- 健康を損なうこともある(ガン、喘息、妊婦への影響などの病気のリスクが高まる)
- 歯が黄色くなる
- お金がかかる
など、
今はたばこに対して、世間的にあまり良い印象がありませんからね。
昔はヤンキー漫画(湘南純愛組!,GTO,疾風伝説 特攻の拓,など)の不良キャラクターたちがたばこを吸って、それに憧れたやんちゃボーイたちが隠れて吸っていたりもしました。
昔はよくそんな人を見かけましたが、今は絶滅危惧種ぐらい見当たりません。(都内だからかもしれませんが…。)
また、私が学生の頃、モテる男の仕草ランキングで、たばこを吸う仕草が上位に食い込んでいましたね。
当時、純粋だった私は、
俺がモテないのは…。たばこを吸わないからなのか…?
と本気で思いました(笑)
まぁ、それでもお金が勿体ないと思ったので、吸いませんでしたが…。
現在はたばこを吸う人が日本では減っていますし、イメージ的にも今後喫煙者の増加は難しいと思います。
会社の20代の子にも、
たばこ周りで吸ってる友達いる?
と聞いても、
たばこ?そんなの吸う人、周りで全然いないっすわ~。
という状況です。
一言で言って、日本ではどんどんたばこ事業は縮小していきそうですね。
まとめ:JT(日本たばこ産業)の見通し改善は海外のたばこ事業次第
JT(日本たばこ産業)は『たばこ』が主力です。その主力がコケ始めたら、高配当を維持するのは難しくなると思います。
たばこを取り巻く環境は年々、厳しくなってきています。
- 健康面でのデメリット
- 環境に対して良くないイメージ(ESG投資に反する)
- そもそも、たばこを吸うメリットがない(昔のようにモテるとか…笑)
不安材料が多いですね…。
ただ、JT(日本たばこ産業)の救いとしては、海外でたばこの市場を伸ばしていることです。
途上国や新興国などは人口増加が見込まれ、たばこを吸う人も多いと言われています。この地域をうまく取り込めば、JT(日本たばこ産業)は今後業績も株価も改善していくと思います。
勿論、他のたばこ企業との競争もあるので、一筋縄ではいかないかもしれませんが、国内が停滞する中、海外に活路を見い出すしかありません。
それが上手くいかなければ業績が伸びずに減配をし、JT(日本たばこ産業)も高配当株として選ばれたのは過去の産物になってしまいます。
仮にそうなってしまうことがあれば、保有株から外す予定です。基準としては営業利益が減り、配当金を減配し始めたらですかね…。
そうならないためにも、JT(日本たばこ産業)には頑張って貰いたいと思っています。