私も保有しているアメリカの高配当ETF、HDV。
HDVは略で、iシェアーズ・コア高配当株ETFとも言います。モーニングスター配当フォーカス指数に連動するETFです。
年4回リバランスされ、ETF内の銘柄が変わることがあります。配当金も年4回(3,6,9,12月)に分けて受け取ることが出来ます。
このHDVは高配当ETFとして、VYMやSPYDに続き人気がある金融商品です。
なぜ、人気があるのかは主に、
- 高配当(約3.5%前後)
- 長期で見ると少しずつ株価も上がり増配している
- 経費率が安い(0.08%)
- 分散もそこそこしている
- 銘柄選定がしっかりとされている
- 大手資産運用会社ブラックロック・グループが運用している
点だと思います。
この中でも、特に
- 銘柄選定がしっかりとされている
のが、HDVの大きな特徴ですね。
どのように銘柄が選定されるのかは、モーニングスター配当フォーカス指数に使われる、
で選ばれます。
下記は英語の原文です。
アメリカ市場で配当金を出す企業でリートを除くというのは、そのままの意味です。
おそらく殆どの人が、
モーニングスター・エコノミック・モート(Morningstar Economic Moat )って何?
って思います。解説しますと、
モーニングスター社が独自に編み出した経済的(エコノミック)な堀(モート)のことです。
このモートという『堀』は、市場規模や資本力、技術力、特許などのことを指します。
城(自社)の領土(市場)を他国(他社)から攻め込まれても守れるように、技術力や優位性で『堀』を作るイメージですね。
この経済的な堀があることで市場を脅かされる確率が下がり、他のライバルとされる企業よりも長く事業を継続することが出来るとされています。
また、この経済的な堀は3つに分けられており、
Moat(モート) | 和訳 | 意味 |
Wide(ワイド) | 広い | 長期(約20年以上)に渡り競争力や優位性があり、利益を獲得することが出来る |
Narrow(ナロウ) | 狭い | Wide(ワイド)までとはいかないが、約10年間収益を上げることが出来る競争力や優位性がある |
None(ノー) | なし | 競争性や優位性がなく、いずれ淘汰され消えていく |
となっています。
モーニングスター配当フォーカス指数には、Wide・Moat(ワイド・モート)が使われており、HDVの銘柄は広い堀で覆われていることになります。
経済的な堀の決め方は、
1.無形資産…他社にはないブランドイメージや特許を持っている。また、政府や国、自治体などから特別に事業許可を得ている企業。
2.ネットワーク効果…たくさんの人々が使っていて生活に定着している。それによりサービスや企業価値が高まり、新たな顧客を獲得しやすくなる。
3.コストの優位性…アイデアや資金力でコストを下げることで他社よりも競争力が増し利益を確保出来る。それにより長期に渡り事業を継続していける。
4.乗り換えコスト…既存のメーカーから乗り換える時に発生する教育や手間、費用を考えたら、既存のメーカーのままが良いという発想。
5.市場規模の優位性…市場規模が小さく参入しずらい、また市場規模はあるが新規参入したところで研究費や人件費などが掛かり、採算が合わない市場を既にほぼ独占している
などをどの程度、企業が持っているのかで決まります。
デフォルト懸念スコアの判断は、エコノミック・モートの堀がWide(ワイド)でも
Narrow(ナロウ)でも、どこかで銘柄の不確実性があれば、投資はしない方向です。
デフォルト懸念スコアはどの堀に属しているのかにもよりますが、同セクター内のTOP30%~50%以内のスコア数値で決めています。
Wide・Moat(ワイド・モート)だと50%なので、HDVは同セクター内のTOP50%以内で判断されます。
この数値の出し方はモーニングスター社独自のモノなので、どうやって出しているのかは謎です。
そして、最終的にモーニングスター・エコノミック・モートとデフォルト懸念スコアから厳選した配当金を出す上位75銘柄で組み込まれる仕組みです。
これらを踏まえた上で、モーニングスター配当フォーカス指数に連動する高配当ETFのHDVは、しっかりと選ばれた銘柄で構成されていると言えますね。
HDVの組み込み銘柄とセクター
モーニングスター配当フォーカス指数のエコノミック・モートとデフォルト懸念スコアのフィルターを通ったHDVの構成銘柄の上位10銘柄は以下になります。
銘柄 | セクター | パーセンテージ |
エクソンモービル | エネルギー | 8.19% |
JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー | 金融 | 6.58% |
ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) | ヘルスケア | 6.58% |
ベライゾン・コミュニケーションズ | 通信 | 6.43% |
シェブロン | エネルギー | 5.57% |
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) | 生活必需品 | 5.13% |
アルトリア・グループ | 生活必需品 | 4.21% |
メルク | ヘルスケア | 4.14% |
シスコシステムズ | テクノロジー | 4.04% |
コカ・コーラ | 生活必需品 | 4.02% |
【2021年4月時点】
特徴としては、上位銘柄だけで約50%を占めているところです。
投資家の中には、
上位銘柄に半分の割合がいっているので、分散効果があまりないんじゃないか?
という意見もありますね。
この辺は何とも言えませんが、それだけ上位銘柄の堀がしっかりしているということだと思うので、個人的にはそこまで気にしなくても良いかなと思っています。
セクターとしては、エネルギー、ヘルスケア、生活必需品が上位を占めています。
- エネルギー 17.67
- ヘルスケア 16.22
- 生活必需品 15.48
- 金融 13.86
- 情報技術 11.35
- 公共事業 8.13
- 通信 6.47
- 資本財・サービス 5.54
- 一般消費財・サービス 3.44
- 素材 1.26
- キャッシュ、デリバティブ等 0.57
- 不動産 0.07
【2021年4月時点】
デメリットはモーニングスター配当フォーカス指数が完璧でないこと
HDVのデメリットはモーニングスター配当フォーカス指数の分析がいくら良くても、それが株高や高配当に確実に比例するとは限らないことです。
下手をしたら期待外れで終わる可能性もあります。減配している時期もありますしね。
株価推移も過去から見てみると、HDVは順調に上がってきてはいますが、VYMとSPYDと比較をすると株価は現在劣っています。(2021年4月の段階)
出典:バックテストポートフォリオより青VYM 赤HDV オレンジSPYD
- エコノミック・モートの銘柄分析=株高
には、繋がない事例になりますね。
しかし、HDVのみをチャートで見ると、全体を通せば右肩上がりにはなっているので、そこまでボロカスに言うほどでもない感じです。
また、組み込みのリバランスを年4回やるということは、ドルコスト均等法の影響を受けにくくしてしまいます。
ドルコスト均等法の受益を得たいのであば、リバランスしないで永遠の積立ガチホが基本です。
リバランスをされると、その分ドルコスト均等法が薄れてしまいますからね。
ただ、ETFにはリバランスは基本付き物なので、そこまで深く考える必要はありません。
むしろ、悪い銘柄をプロが思考し、機械的に排除してくれるので、それはそれで良いかなと思っています。
HDVに投資をした理由
私がHDVに投資をした理由はコカ・コーラやJohnson&Johnsonなど、いくつか欲しいと思っていた個別銘柄があったからです。
独自に欲しい個別銘柄を買っていくと、管理が大変になってきますし、資金力もいります。
しかも、決算書は英語です。英語が出来れば問題ありませんが、Google翻訳で解読するのが精一杯です。
また、保有している個別銘柄の業績が悪くなり、減配したら
- 売却するのか?
- ガチホするのか?
の判断が難しく、最終的な結論として、
ETF(HDV)でまとめ管理して、判断して貰った方がラクだな…。
と思ったので、HDVに投資をしました。
配当も2012年から2020年にかけて、長期で見れば約70%ほど増配していますしね。
年数 | 配当金 |
2012年 | 2.093ドル |
2013年 | 2.23ドル |
2014年 | 2.451ドル |
2015年 | 2.879ドル |
2016年 | 2.699ドル |
2017年 | 2.949ドル |
2018年 | 3.095ドル |
2019年 | 3.209ドル |
2020年 | 3.568ドル |
まとめ:高配当ETFのHDVは銘柄選定がしっかりとされているが、モーニングスター社次第なところもある
アメリカの高配当ETF、HDVはエコノミック・モートやデフォルト懸念スコアなどで銘柄が選定されており、投資をする身としては、かなり安心感のあるETFだと思います。
組み込みのリバランスもされるので、投資家はお任せで放置がし易いですね。
但し、モーニングスター社の選んだ銘柄が必ずしも株高、高配当として比例する訳ではありません。
銘柄分析も完璧とは言えず、モーニングスター社次第な点もあります。
そこが気になる人は、HDVには投資をしない方が良いでしょう。
個人的には、銘柄分析やリバランスを定期的にしているので監視する必要はあまりありませんし、
欲しい個別株がいくつかHDVの中にあるので、まとめて管理をするという名目で今後も保有はしていく予定です。
下記は関連記事です。高配当ETFのSPYDと半導体ETFのSMHについて書いています。