アメリカのETFで、日本の個人投資家に人気の高配当ETF、SPYDをつい最近まで保有していましたが、売却しました。
SPYDは、S&Pの中から最も利回りが高い上位80社を指数利回りに基づいて投資をしていくことを目指し、投資の割合は均等(各個別株1.5%~2%程度)になるように運用していきます。
- 利回りが高い順に投資をする
- 均等割合で個別株に投資をし、ファンドに組み込む
この2つの特徴がSPYDの個性でもありますが、これが逆にデメリットになることもあります。
デメリットになる点としては、SPYDのETF自体が高配当株の罠にハマり、均等割合投資によるナンピンを繰り返すことで、ファンドのパフォーマンス自体を下げてしまうことがあるということです。
高配当株優先で組み込みされる危険性
S&Pの中から配当が高い順に株を組み込みファンドを運用する。
ここだけを見ると、
S&Pは優秀な指数だし、配当が高い銘柄で構成されるなら、配当金多く貰えるし、いいじゃん!
と思ってしまいますが、(実際それで過去に投資をしました…)
配当が高い=何か問題がある企業
の可能性もあります。財務的に問題がなければいいのですが、一般的に配当利回りが高い銘柄には、良からぬ理由があるからこそ、配当が高いというのが多いです。
SPYDのファンドマネージャーが財務や企業の健全性、将来性などをどこまで観て投資をしているのかはハッキリとはわかりません。
運用会社のホームページにはそれらしきことが書いてなかったので、
あまり関係なく、配当が高い企業を優先的に組み込んでいる印象を受けました。(組み込みには、ちゃんとした健全な企業もあると思いますが…。)
配当が高い企業だけを集めるのはいいですが、いくらS&Pの中から株を選んでも、財務状態が良く健全性がなければ、減配リスクも付いて来ます。
- 優先的に配当が高い株を集めて運用をすること
まずはここに危険性を感じてしまいました。
実際にSPYDは2019年12月から減配ラッシュが続いています。
月日 | 配当 |
2019年12月 | 0.4672 |
2020年3月 | 0.3962 |
2020年6月 | 0.3657 |
2020年9月 | 0.2635 |
コロナショックの影響が主な原因だと思いますが、投資家からすればあまりよろしくはないですね。
均等投資は鬼ナンピンの危険性があり、良質な企業の割合も減ってしまうことがある
SPYDの均等割合という投資方針にもデメリットがあります。
保有率が決まっているので、投資分配比率を見直すときに、例えば、
企業 | 保有率 | 配当 | 業績・財務 |
不動産A社 | 40% | 高い | 安定・良好 |
金融B社 | 40% | 高い | 安定・良好 |
エネルギーC社 | 10% | 高い | 不安定・悪い |
公益事業D社 | 10% | 高い | 不安定・悪い |
の状態から均等割合が起こると、
企業 | 保有率 | 配当 | 業績・財務 |
不動産A社 | 25% | 高い | 安定・良好 |
金融B社 | 25% | 高い | 安定・良好 |
エネルギーC社 | 25% | 高い | 不安定・悪い |
公益事業D社 | 25% | 高い | 不安定・悪い |
になります。安定した調子の良い企業を売り、不安定な調子の悪い企業を買うということが起こります。
これによって、調子の悪い企業の株が、上がっていけばいいですが、上がらなければ意味がないですし、
投資分配比率の調整によって、ナンピンしても、その株自体配当が悪くなれば、切られることもあります。
また、下手をしたら、ずっと調子の良い企業を売り、調子の悪い企業を買い続けるという無限ループに陥り、基準価格が上がりにくくなるということにもなりかねません。
特に暴落時、こういった基準価格が上がりにくくなるリスクは、どのETFでもありますが、2020年からのSPYDに限って言えば、それが目立ちますね。
大幅な下落は、景気に敏感なセクターを集めていることもありますし、上がりの復活が他の高配当ETFに比べて遅いのは、SPYDの均等割合投資も多少は原因があるのかなとも思います。
まとめ:ETFでも高利回りに吊られて、自分のポートフォリオに入れるのにも、デメリットがある
ETFの基準価格なんてモノは、日々動いていきます。
その中で、基準価格が下がっている状態の高利回りだけを集めるETFは、高配当の罠にハマった状態になり得ます。
実体験しているからわかりますが、私の保有しているJTとオリックスがそれに近いですね。高配当に吊られて投資をして、やっちまったなぁ感が出ています。
配当は出るけど、株価自体が下がり、結局投資金を回収するのに、年月が掛かかってしまいます。
投資をしても、配当で投資金を回収する状態が、SPYDのETFでも起こってしまうのではないか?ということです。
しかも、投資方針として分配比率の見直しで、良質な株の割合も減ってしまいますしね…。
勿論、他の高配当ETF(VYM,HDV)も危険性はあります。SPYDだけに限って言えたことではないかもしれませんが、
財務状態にあまり関係なく、配当が高いモノから順に、均等にバランスよく投資をするという点で、下手をしたら
弱小低脳投資家の私が株やミニ株(単元未満株)でよく使う
必殺!鬼難平(ナンピン)冷凍保存っ!
という技を繰り出すことになります。
減配リスクを抱え、投資した純資産が増えない状態だと投資が凍資になってしまいます。
ETFのファンドの組み込みに、財務が安定している企業がたくさんあれば、問題ありませんが、そういった方針ではないので、SPYDには不安要素が残りますね。
景気が良くなりSPYDも以前のように、S&P(VOO)を超えるETFに戻ることもあるかもしれないので、逆ばり的に投資をするのも有りですが、
高配当ETFに逆ばり要素を求めていないので、SPYDに投資をせず、それよりも比較的安定しているVYMかHDVに今後も投資をしていく予定です。
下記関連記事です。その後SPYDは見事な復活劇を見せました。投資の世界は何が起こるのかわかりませんね。
下記はアメリカの半導体ETFについて書いています。
下記はモーニングスター配当フォーカス指数に連動するHDVについて書いています。