日本の証券取引所に上場している【1566】上場インデックスファンド新興国債券のETFは利回りが高く魅力的に感じます。
年率利回りは、だいたい約4~5%ですからね。
チャート的には、ベンチマークと比較をすると差はありますが、再投資込みならば、そこそこの運用成績になっています。
これを見て、チャート的にはやや右肩上がりだし、一般的な高配当株や高配当ETFより利回りが高いので、
【1566】の上場インデックスファンド新興国債券のETFだけに投資をすれば、人生上がれるっしょ~!
と思ってしまいますよね?
私もそう思った時期が約7年ほど前にあり、少量ですが現在も保有しています。(今思えば、愚かな思考です…笑)
しかし、【1566】の上場インデックスファンド新興国債券は分配金を再投資しない場合は実際の所、元本割れをしていますし、
一口の分配金も過去と比較をすると、どんどん減っていっています。
月日 | 分配金1口 |
2015/05/10 | 513円 |
2016/05/10 | 519円 |
2017/05/10 | 512円 |
2018/05/10 | 486円 |
2019/05/10 | 465円 |
2020/05/10 | 369円 |
2021/05/10 | 371円 |
※1年単位5月刻み
約6年前から徐々に減っていき、一口の分配金が513円から371円まで落ちてます。
元本割れ&分配金の減配。この2つが重なるということは…。
まさに、『高配当の罠』銘柄と同じですね。
これらのことから【1566】の上場インデックスファンド新興国債券に投資をするとしても、あくまでもメインの銘柄としてポートフォリオに入れないで、
新興国債券をポートフォリオに入れるために少し投資をする
新興国債券がもしかしたら今後上がるかもしれないから、逆張り的に一部投資しよう
と、サブ的に保有した方が良いETFだと思います。
または、こういう動きをするETFには、投資をしないという賢い選択肢もあります。
【1566】上場インデックスファンド新興国債券はどんなETFか?
【1566】上場インデックスファンド新興国債券のETFは日興アセットマネジメント株式会社が運用しています。
ETFなので、目標とする指数があり、
- 円換算したブルームバーグ・バークレイズ自国通貨建て新興市場国債【10%国キャップ・インデックス】(総合投資収益を時価総額比率で加重平均し指数化する)
に一致させることを目指しています。
どんな指数かというと、
指数にある「ブルームバーグ・バークレイズ」とは、ブルームバーグ社と2016年に同社に買収される前のバークレイズ・アナリティクス・アンド・インデックス・ソリューションズ(BRAIS)のことで、社名です。
債券としては、
- 国内(海外国債含む)で販売されている債券
- 海外の自国通貨建て債券
を投資対象としています。
自国通貨建てなので、円建てではないです。基本的にその投資する国の通貨建てになります。
10%国キャップとは、指数の中にある各国の投資比率をMAX10%までとし、それ以上は投資をしないことです。特定の国にはあまり偏らないようにしているということですね。
加重平均とは、株価指数の算出方式の1つで、単純に平均値を出す方法ではなく、量の大きさや小ささを反映させる計算方法です。
また、新興国債券以外にも、マネー・アカウント・マザーファンドを使い、国債および格付の高い公社債などにも一部投資を行っています。
ただ、方針的にベンチマーク(ブルームバーグ・バークレイズ自国通貨建て新興市場国債【10%国キャップ・インデックス】)への連動を目指しているので、マネー・アカウント・マザーファンドの利用をするとしても少しだけだと思います。
資産構成割合としては、
- 国債 97.13%
- 現金・その他資産 2.87%
組み入れ銘柄数は約200銘柄となっています。(2021年5月現在)
上位銘柄はブラジル、中国、インドネシア、メキシコの割合が多いですね。
管理費用やその他の手数料は下記の通りです。
- 運用管理費用は0.495%(税込み)
- その他の費用(目論見書、監査費用など)は、ファンドの純資産総額の年率0.1%を乗じた額
- 売買委託手数料などは、借入金の利息や有価証券の貸付を行った場合などの手数料0.55%(税込み)
- 途中解約をすると、信託財産留保額を取っているので、解約の基準価額に対して0.3%、別で費用がかかります。
※その他の費用と売買委託手数料は運用状況によって変化することがある
【1566】上場インデックスファンド新興国債券のデメリット
【1566】上場インデックスファンド新興国債券のデメリットは、ETFのため分配金に税金がかかり、再投資をしても複利効果は得にくいです。
また、高利回りなため新興国債券特有のデメリットも存在します。
中でも、新興国はデフォルトリスクが特に高いです。政治的に不安定なところが多いですからね。
それに新興国は投資環境が整っていないためか、先進国と比較して、トータルの管理手数料が高めに設定してあるようにも感じます。
【1566】上場インデックスファンド新興国債券の一般的なリスク
【1566】上場インデックスファンド新興国債券の一般的なリスクについては、日興アセットマネジメント株式会社のホームページにも書いてありますが、簡易的にまとめると下記のような感じです。
- 価格変動リスク
金利による価格の変動、また新興国の債券は先進国の債券と比較すると変動の幅が大きい(基本的に新興国の政治が不安定なため)
- 流動性リスク
市場規模や取引量が少なく流動性が低いことがあり、それにより売買価格に影響が出ることもある。
- 信用リスク
デフォルト(債務不履行)が起こり、投資した資金が戻らない可能性がある。新興国の債券は利回りは高いが、その反面デフォルトリスクは高い。(公社債、短期金融資産含む)
- 為替変動リスク
外貨建資産のため、円安、円高の影響を受ける。新興国通貨は為替変動が大きく安定しないことが多い。
- カントリー・リスク
投資対象国の政治不安や金融危機(デフォルト含む)、災害、テロやクーデター、戦争などの国単位のリスクがあり、それによって運用が難しくなったり、基準価格に影響する
- 有価証券の貸付などにおけるリスク
取引相手が倒産したり、資金繰りが困難で不履行になることもある。不足金をファンドが補ったりすれば、損失が発生する。
- 市場価格と基準価額のカイ離
必ずしも、市場価格と基準価格は一致しない。売買の誤差でカイ離が生まれる
どんな投資にも、こういったリスクは付きモノですが、新興国に投資をする際は、より一層こういったリスクが高まる印象です。
管理手数料がそこそこする
新興国関連に投資をするときは、債券だろうと株だろうと、管理手数料が高めです。
債券つながりで、先進国債券インデックス【1677】と新興国債券インデックス【1566】の運用管理手数料を比較すると、
- 先進国債券インデックスの【1677】は、0.275%(税込み)+その他、費用の手数料(目論見書や監査費用など)
- 新興国債券インデックスの【1566】は、0.495%(税込み)+その他、費用の手数料(目論見書や監査費用など)
となっており、運用会社は同じでも、先進国と新興国で手数料の差が生まれます。
その分、それに見合ったリターンがあれば良いですが、そうもいかないこともありますね。
【1566】上場インデックスファンド新興国債券のメリット
【1566】上場インデックスファンド新興国債券はリスクが高くデメリットが多いですが、
- 2ヶ月ごとに分配金が貰える
- 投資しにくい地域の債券がまとめて買えるし、管理がラク
という点においては、好感が持てるETFだと思います。
特に新興国の債券を一度で一気に分散して保有出来る点は、ETFならではです。
2ヶ月ごとに分配金が貰える
【1566】上場インデックスファンド新興国債券は、年6回(1,3,5,7,9,11月)の奇数月に分配金を貰うことが出来ます。
国内外のETFによって多少変わりますが、分配金を出すのはだいたい年1回~4回が普通ですね。
高配当の罠銘柄のように今はなっていますが、分割のように年6回分配金を貰えると、気持ち的に嬉しいのは確かです。
投資しにくい地域の債券がまとめて買えるし、管理がラク
新興国債券に投資をしようとしたときに、1つ1つ債券を持とうとすると、余計な手間や、より多くの売買手数料を取られることになります。
また、たくさんの債券を持てば持つほど、管理も大変になってきますし、
仮に1つの債券に資金が偏っていたら、それがデフォルトしたときのダメージが大きいです。
そういった手間やデフォルトしたときのダメージを減らすためにも、こういったETFに投資をして管理してもらうことも、1つの手段として良いと思います。
まとめ:【1566】上場インデックスファンド新興国債券ETFは高利回りに釣られて投資をすると火傷する可能性がある
【1566】上場インデックスファンド新興国債券ETFは、利回りが高く、分配金も2ヶ月ごとに出るので、投資家の中には私のように少しだけ保有している人もいます。
しかし、新興国債券なので、デフォルトリスクは先進国よりは高く、【1566】上場インデックスファンド新興国債券ETFは『高配当の罠』と同じ様な感じになっています。
高利回りに釣られて投資をすると、結果的には資産を減らしてしまうこともあり、全力で【1566】上場インデックスファンド新興国債券への投資はあまりオススメできません。
もしかしたら今後、新興国債券に人気が出て、基準価格も分配金も上がることがあるかもしれない。
新興国債券で分配金を出すETFを少量だけ、ポートフォリオに入れてみようかな。
と思う人であるならば、投資を検討しても良いETFかなと思います。
そうでなければ、あまり手を出さない方が良い銘柄です。